検査項目

検査項目について

至聖病院で行う検査内容、数値等について、一般的な事項を記載しております。参考になれば幸いです。しかし、全ての人に当てはまるものではありません。
より詳細な情報を知りたい方は、最寄りの医療機関にお問い合わせください。

BMI値(体格指数)

身長に見合った体重かを評価する指標で、体重(Kg)÷身長(m)÷身長(m)で求められます。25以上を肥満、18.5未満をやせすぎと判定します。

腹囲測定

へその高さで胴周りを測定します。男性は85cm未満、女性は90cm未満を基準としています。
内臓脂肪の量と相関するといわれ、 腹囲が大きい場合は腹部内臓脂肪の過剰蓄積が疑われます。

血圧測定

動脈にかかる圧力(心臓の収縮期と拡張期)を測定します。収縮期:130未満かつ拡張期:85未満が正常域です。
わずかな高血圧でも動脈硬化を生じて脳卒中や心筋梗塞、腎不全などを発症しやすくなります。
しかし、通常自覚症状はなく、放置していると大変なことになり「サイレントキラー」とも呼ばれます。

眼検査

眼底検査 目の瞳孔から眼球の中を覗いて血管や網膜の様子を観察し、高血圧や動脈硬化に伴う変化、糖尿病の合併症である網膜症等の有無を調べます。
眼圧検査 眼球の硬さから眼球にかかっている圧力を調べます。高眼圧は緑内障を疑わせる所見ですが、眼圧の高くない緑内障もありますので注意が必要です。

胸部X線撮影検査

胸部のX線写真を撮り、肺や気管支、心臓、背骨等の異常を調べます。影があれば炎症やがんが疑われます。

心電図測定

心臓に発生する電気的な変化を観察し、不整脈などの有無を調べます。電気的な変化を波形にし、どの部分が、どのように変化しているかで心臓のどの部分に異常があるか推測します。

肺機能検査

肺活量と肺などの機能(空気の出入を検査する呼吸器機能)を検査します。
肺にどの位の空気が入るか、十分に膨らむ柔軟性を保っているか、気道が狭くなっていないか等を調べ呼吸器関係の病気の検査を行います。

便潜血検査

便に血液やその成分が混じっていないか調べ、大腸や小腸からの出血を検出する検査です。
炎症やポリープ、がん等があって出血していると陽性となります。
大腸での潜血反応陽性率は高いので、陽性と判定された場合は精密検査(大腸内視鏡検査)をお勧めします。

胃部X線透視検査(上部消化管X線造影)

造影剤であるバリウムと胃を膨らませる発泡剤を飲み、食道と胃、十二指腸をX線で撮影し、がんや潰瘍等の異常が無いか調べます。

胃内視鏡検査(胃カメラ)

細長い管の先にカメラが付いている内視鏡を口もしくは鼻から挿入し、食道、胃、十二指腸を直接観察する検査です。
映像を見ながら炎症や出血、ポリープ、潰瘍、がん等の有無を調べます。
当院では、受診者様のご希望に合わせ経鼻、 経口のどちらのタイプでも受診が出来ますので、ご希望を担当医にお話しください。

腹部超音波検査(エコー検査)

高周波の超音波を発信し、反射波(エコー)を利用して画像化・解析する検査です。
ゼリー剤を塗った腹部にプローブ(探触子)をあて検査を行います。上腹部超音波検査では主に肝臓、胆嚢、膵臓、脾臓、腎臓などの臓器に異常がないかをみます。
当院では腹部大動脈も確認しています。骨盤内超音波検査では子宮、卵巣、膀胱、前立腺を観察します。
しかし超音波検査は皮下脂肪や腹部のガス、肋骨や骨盤の骨などの影響で観察しにくい部位もあります。

マンモグラフィ検査

マンモグラフィ(X線)検査は、触診では発見が困難な小さな腫瘍を見つけるのに欠かせません。
乳房を圧迫し、上下・左右の方向からX線写真を撮影し、腫瘍等の有無を調べます。

尿検査

体内の水分は常にほぼ一定に保たれている必要があります。その為、体内で不要になった物や、溜まると病気になってしまう可能性があるものを排出する一つの手段が尿による排出です。 尿は、不要な物の内、水や水に溶ける物質を捨てる為の機能です。尿を調べることによって、尿を作る腎臓や尿の経路の異常だけでなく膵臓や肝臓の機能、呼吸や代謝の機能、感染の存在等を知る手掛かりとなります。

尿糖 糖尿病の他、腎臓に何らかの異常があるときなどに陽性になります。
尿蛋白 腎臓の異常などにより、陽性になります。糖尿病のある方はわずかな陽性所見でも糖尿病性腎症が疑われます。
ウロビリノーゲン 胆汁に含まれるビリルビンが腸内細菌によって分解されてできる物質で、大部分は便として排出されます。通常は(±)ですが、肝臓の病気や溶血性貧血などで(+)、胆道の閉塞などで(-)となります。
尿潜血 腎臓の異常や尿路系の外傷、結石の他、腎臓や膀胱のがんで陽性になります。
尿沈渣 尿を遠心分離器にかけ、沈殿した赤血球、白血球、血漿成分、細胞、細菌などを観察して病気の診断に利用します。

ABC検診・ピロリ菌抗体・ペプシノゲン

ピロリ菌が胃の粘膜に感染すると粘膜が萎縮して慢性胃炎を生じ、進行すると胃がんが発生する可能性があります。
しかし、粘膜の萎縮が高度になるとピロリ菌は消失し、ペプシノゲン検査が陽性になります。
ピロリ菌抗体検査とペプシノゲン検査を組み合わせて、胃がん発生の危険度を調べることができます。
これをセットで行うのがABC検診で、結果をA群~E群に分類します。
結果の評価はA群:ピロリ菌抗体検査 陰性 ペプシノゲン検査 陰性
      B群:ピロリ菌抗体検査 陽性 ペプシノゲン検査 陰性
      C群:ピロリ菌抗体検査 陽性 ペプシノゲン検査 陽性
      D群:ピロリ菌抗体検査 陰性 ペプシノゲン検査 陽性
A群からD群に行くにしたがって胃がん発生の危険度が上がります。E群はピロリ菌の除菌に成功された方の評価となります。
B群~E群に判定された際は、胃カメラの受診をお勧めいたします。

血液検査

血液を調べることにより、体内で何が起きているのか多くの情報を与えてくれます。血液は常に全身を循環しており、肝臓の機能やどこかに癌や感染がある可能性、呼吸や代謝の機能、ホルモンの状態等、多くの事を知ることが出来ます。

白血球 細菌や異物を取り込んで分解するなど、免疫の働きをするものです。数値が多い場合は急性の感染症の他、稀に白血病の可能性もあります。少ない場合は再生不良性貧血などの血液の病気や、膠原病などの可能性があります。
赤血球、血色素量、ヘマトクリット、MCV、MCH、MCHC ・赤血球:肺から取り入れた酸素を全身に運び、不要になった二酸化炭素を回収して肺に送る役目を担っています。
・血色素量:赤血球に含まれるヘムといわれる蛋白質で、酸素運搬の主な役割を担っています。
・ヘマクリット:血液全体に占める赤血球の割合を示しています。
・MCV・MCH・MCHC:赤血球、血色素、ヘマトクリットの値の割合から計算し、貧血の種類を鑑別するために用います。
血小板数 血管壁が損傷したときに集合して、その傷口をふさぎ、止血する作用を持ちます。数値が多くても少なくても、血液の病気などの可能性があります。注意しなければならないのは、肝臓の機能がかなり悪くなると血小板の数値は低下します。
末梢血液像 白血球には好中球、好酸球、リンパ球などいろいろな種類があります。これらの数値とともに割合を調べることにより感染症、免疫の病気、白血病などの血液の病気の診断に利用します。
総ビリルビン ビリルビンは古くなった赤血球が破壊されるときに生成される物質で、肝臓に運ばれて胆汁中に排泄されます。数値が上昇すると黄疸を認めるようになりますが、この場合、肝機能障害、胆汁のうっ滞、血液疾患などが疑われます。
総蛋白、アルブミン、A/G比 ・総蛋白:数値が低い場合は栄養障害、ネフローゼ症候群、がんなど、高い場合は慢性炎症、多発性骨髄症、脱水などが疑われます。
・アルブミン:肝障害、栄養不良、ネフローゼ症候群などで減少します。
・A/G比:総蛋白に対するアルブミンの割合を示しますが、それぞれの値で評価します。
GOT、GPT、γ-GTP GOTは心臓、筋肉、肝臓に、GPTは肝臓に多く存在する酵素です。数値が高い場合は急性肝炎、慢性肝炎、脂肪肝、肝臓がん、アルコール性肝炎などが疑われますが、GOTのみが高い場合は筋肉疾患、心筋梗塞などが考えられます。肝障害がかなり進行するとGOT、GPTは低下することがあります。
Γ‐GTPは肝臓での解毒作用に関係している酵素で、肝臓や胆道に異常があると高値を示し、アルコール性肝障害の他に慢性肝炎、胆汁うっ滞、薬剤性肝障害などが疑われます。
ALP 肝臓や小腸、腎臓、骨など多くの臓器や器官に存在する酵素で、肝臓では主に胆汁がうっ滞するときに高値を示します。
LDH 殆どの臓器にの細胞に存在する酵素で、肝臓疾患、悪性腫瘍、血液疾患、心臓や肺の疾患、甲状腺機能低下症などで高値を示します。
コリンエステラーゼ 肝細胞で作られる酵素で、肝硬変などで肝機能が低下すると低地を示し、栄養過多による脂肪肝などで高値を示します。
LAP 肝臓や腎臓、腸などに多く存在する酵素で胆汁にも含まれます。胆汁うっ滞などで高値を示します。
尿酸 数値が高い場合を高尿酸血症といいます。高い状態が続くと結晶となって関節に蓄積して突然関節痛を生じますが、これが痛風発作です。また尿路結石や腎臓病の原因にもなり、最近は動脈硬化の危険因子ともいわれています。
尿素窒素、クレアチニン、eGFR クレアチニン、尿素窒素の値はともに腎臓から老廃物を尿に排泄する機能を表し、数値が高いとその機能が低下していることを意味します。クレアチニンの値は年齢、性別、筋肉量などの影響を受けるので、この影響を除くためにクレアチニン値を性別、年齢で補正してeGFRを算出し、腎臓の機能をより正確に評価します。eGFRの数値が低いと腎臓の機能が低下していることを意味します。一方、尿素窒素は消化管内の出血、脱水、体の組織の損傷・破壊、たんぱく質の過剰摂取などでも値が上昇します。
アミラーゼ でんぷんを分解する酵素で、主に膵臓、唾液腺から分泌されます。急性膵炎、慢性膵炎、膵臓がん、耳下腺炎慢性腎不全などで高値を示します。
総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、non-HDLコレステロール、βリポ蛋白 ・総コレステロール:下記に示すHDLやLDLを含むのでそれぞれの値で評価します。
・中性脂肪:糖質がエネルギーとして脂肪に変化したもので、数値が高いと動脈硬化を進行させます。
・HDLコレステロール:善玉コレステロールといわれるもので、血液中の悪玉コレステロールを回収する作用があり、少ないと動脈硬化を生じやすくなります。
・Non-HDLコレステロール:動脈硬化を引き起こす脂質には様々なものがあり、動脈硬化の危険性を総合的に評価します。数値が高いと動脈硬化の危険性が高くなります。
・LDLコレステロール:悪玉コレステロールといわれるもので、血管壁に蓄積して動脈硬化を進行させ、脳卒中や心筋梗塞などが起こしやすくなります。なお、甲状腺機能低下で数値が上昇することもあります。
・β‐リポ蛋白:LDLと同様に高値を示す場合は動脈硬化が進行して脳卒中や心筋梗塞などを発症しやすくなります。
空腹時血糖、HbA1c 糖尿病早期には食後の血糖のみが上昇し、糖尿病が進んでから空腹時の血糖が上昇します。血糖値は毎日変動していますが、HbA1cは過去1~2か月間の血糖の平均的な状態を反映します。
CRP 炎症や体の組織の障害、免疫反応が生じたときなどに増加する蛋白質で、細菌やウイルス感染症、関節リウマチ、膠原病、心筋梗塞などで増加します。
HBs抗原、HBs抗体、HCV抗体 HBs抗原陽性の場合はB型肝炎ウイルスが、HCV抗体陽性の場合はC型肝炎ウイルスが現在体内に存在していることを意味します。肝炎ウイルスが存在すると肝硬変や肝がんが発症しやすくなります。 HBs抗体は過去にB型肝炎に感染したか、ワクチンを接種して現在B型肝炎に対する免疫を持っていることを意味します。
TPHA、RPR法 梅毒に現在感染しているか、又は過去に感染したかどうかを調べる検査です。TPHAは過去に感染して現在治っていても陽性になります。また、RPR法は結核、膠原病以外でも陽性になることがあります。
血清鉄 再生不良貧血や肝障害などで高値を示し鉄欠乏性貧血やがん、感染症などで低値を示します。
RF定量 関節リウマチだけでなくその他の膠原病、肝硬変、慢性の炎症などで高値となります。また、健常の人でも軽度の高値を示す人がいます。
ASO 溶血性連鎖球菌の感染を調べる検査で、リウマチ熱や膠原病などの診断に利用します。
腫瘍マーカー 腫瘍マーカーは腫瘍細胞が産生している物質で、腫瘍の存在、種類、進行度などを反映しますが、良性の病気でも増加することがあり、中には健常者でも軽度の上昇を認めるものもあります。また、PSAを除き早期のがんでは上昇しないことが多いことについてもご注意ください。
・CEA:大腸がん、胃がん、食道がん、肺がん、胆管がん、膀胱がん、卵巣がん、肝がん、乳がん
・AFP:肝臓がん、肝芽腫、悪性奇形腫
・CA19-9:膵がん、胆のうがん、胆管がん、胃がん、大腸がん
・PSA:前立腺がん
・CA125:卵巣がん