至聖ヘルスケアコラム
至聖ヘルスケアライフVol.2 整形外科その① 骨粗しょう症
2020年10月20日
骨粗鬆症とは
骨粗鬆症とは、骨の量(骨量)が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。
日本には約1000万人以上の患者さんがいるといわれており、高齢化に伴ってその数は増加傾向にあります。
骨粗鬆症は圧倒的に女性に多い病気です。
閉経を迎える50歳前後から骨量が急激に減少し、60歳代では2人に1人、 70歳以上になると10人に7人が骨粗鬆症といわれています。
これは、女性ホルモン(エストロゲン)が骨の新陳代謝に関わっているからです。
その他、年齢や遺伝的な体質、偏食や極端なダイエット、喫煙や過度の飲酒、運動習慣なども骨粗鬆症の原因として考えられており、最近では、若い女性の骨粗鬆症も問題になっています。
超高齢化社会を迎えた現在、実際に骨粗しょう症の治療を受けているのは全体の20~30%にすぎないと言われています。
女性の症状というイメージがあるが、患者の4人に1人は男性です。
男性の場合、治療を行わずにいると重症化しやすく、骨粗しょう症を原因とした大きな骨(腰椎や大腿骨など)の骨折を起こすことが多いとされています。
骨粗しょう症は寝たきりにつながります
介護が必要になった原因の約10%が『骨折・転倒』によるものと言われています。
また、骨粗しょう症で一度骨折を起こすと次々と骨折をする危険が大きくなっていくため、早期の発見及び適切な治療が重要となってきます。
当院の治療方針
当院では、DXA法による骨密度検査が可能です。
骨密度測定や血液検査を行い、骨の状態を正確に把握した上で、必要に応じて患者さん一人一人にあった治療法を提案するなど骨粗しょう症の治療を積極的に行っております。
良くある質問にDrがお答えします!
Q.骨粗しょう症は高齢の女性に多いといいますが、男性はどうなんですか? |
A.最近は男性の患者さんも増えています! 骨量は男性も女性も加齢とともに自然に減ってきます。 ただし、女性の場合は、女性ホルモンが骨のカルシムの減少を抑えているため、閉経期に骨量が極端に少なくなります。これは自然現象です。 しかし、自然現象以上に骨量が著しく減少してしまう場合があります。 これが骨粗しょう症です。 原因は遺伝や運動不足、栄養不足などの生活習慣が大きく関係していると言えますが、はっきりした原因を特定することはできません いっぽう男性はホルモンの急激な変化がないため、女性より患者数の割合は低いものの、骨粗しょう症患者の4分の1は男性といわれています。 特に人生100年時代と呼ばれ寿命が延びた現代、また生活習慣の乱れなどから、男性の骨粗しょう症人口が増えてきました。 特に、男性は骨粗しょう症にたいする意識が低いため、注意が必要です。 |
Q.骨粗しょう症でも、転ばなければ骨折しない? |
A.寝ているだけで骨折する場合もあります。 骨粗しょう症は、骨の量が少なくなってしまう病気です。 骨量が少なくなってくると、骨がもろくなり、ちょっとしたことで骨折しやすくなります。 その折れ方は、健康な骨がポキッと折れるのとは違い、グニャグニャと折れます。 骨粗しょう症の骨折は、転倒などをしなくても、折れてしまうんです。 たとえば、寝ていただけ、座っただけ、という何気ない日常生活の中で、骨がグニャグニャっと折れてしまうのです。 |
Q.骨粗しょう症の予防にはどんな事が効果がありますか? |
A.適度な運動と栄養バランスです! 骨は必要があれば作られ、必要がなければ作られません。 そこで材料となるカルシムを十分摂った後、骨に負荷をかけることで強い骨を作ることができます。 そこで、日常の運動はロコモ体操をオススメします。 また、膝や腰が痛いという人は、水泳でもいいでしょう。 また、運動と骨について一番気をつけたいのが、女性の激しいスポーツです。 ダイエット同様、月経が止まってしまうほど激しいスポーツをすると、女性ホルモンが減少し、骨粗しょう症のリスクがアップします。 骨の材料は、コラーゲン(タンパク質)と、カルシウム、リン、マグネシウム、ナトリウムなどのミネラルです。 すなわち、カルシウムだけでなく、タンパク質もミネラルも必要になります。 食事はさまざまな栄養素をバランスよく摂ることが重要です。 そのうえで、カルシウム(牛乳や豆腐、小松菜)やビタミンD(サケやサンマ)、ビタミンK(納豆やレタス)などを意識して取るとよいでしょう。 |
Q.運動以外に効果のある事は? |
A.日光浴がオススメです! 骨粗しょう症予防の第一は、バランスの取れた食事とお答えしましたが、もうひとつは、カルシムの吸収を促すビタミンDのレベルを高くすることです。 ビタミンDは紫外線にあたって皮膚で作られます。 ですから、紫外線にあたること自体が大事なので、日焼け止めでブロックしてしまうと意味がありません。 日焼けが気になるという人は、帽子や日傘などを利用するといいでしょう。 |
Q.骨粗しょう症の検査と治療方法を教えてください。 |
A.最初の検査は骨密度測定。治療は薬物療法が主です 骨粗しょう症の検査にはいくつか方法がありますが、当院最初に受ける骨密度測定にも種類がありますが、多くが超音波法です。これはかかとにある海綿骨に超音波をあてるもの。ここで、20〜40歳の平均骨密度と比較をし、その値が70%以下の場合は、骨粗しょう症が疑われます。また80%以下の場合でも「骨量減少症」の疑いがあるので、精密検査の必要があります。 精密検査では、X線を使ったDXA法で腰椎や大腿骨などの骨量を測定します。骨粗しょう症と判定された場合には、さらにレントゲン撮影で進行具合を検査します。また血液検査や尿検査によって骨代謝マーカー(骨の作っている状態を表す骨形成マーカー、骨を壊している状態を表す骨吸収マーカー)をみていきます。 こうした検査から、治療法はその人に合ったものを選択します。①カルシウム代謝改善、②骨吸収を抑制、③骨形成を促進するなどの薬物療法を行います。こうした治療によって骨折のリスクを2分の1に抑えることができるのです。骨粗しょう症は、第一に予防、次に早期発見、早期治療が大切なのです。 |